ともに… その後

紹介

お墓を建立する事を決意した私だが、まずは石屋さんを探す必要がある。
自慢ではないが、私は石の事については全く分からない。
さっぱり。無知。素人。
当たり前である。
産地や相場、良し悪しすらも全く分からない。
分からないから、極端な事を言うと詐欺やぼったくりをされても分からない。
そんなものかと納得するに違いない。
そもそも、４０年近く毎日食べている食物でさえ、産地偽装されても分からない。
食べているのに、産地が違う事すら気付かない。
ならば、初めて買う墓石の事など当然分かるわけがない。
そんな私に救世主は職場内にいた。

定年退職後、ＯＢとして時々やってくる人。
所謂おじいちゃん。
おじいちゃんと言うには、些か失礼である。
私と父親と同じ年齢なのだから。
その人のいとこが、全国チェーンの仏具店で働いているとの事。
この仏具店。お墓も取り扱いがあるとは知らなかった。
紹介してくれる人は、店長のその上、地域の営業部長らしい。
これは頼もしい。
紹介なら悪いようには出来ないし、ましてや全国チェーンの営業部長である。
お店の看板に泥を塗るような事はしないだろう。
是非、紹介をしてもらい、詳しい話を聞いてみたい。

私の申し出を快く引き受けてくれ、後日その人を紹介してくれる事となった。
しかし、地域の営業部長さんが、そんなに簡単に時間など作れるのだろうか。
少なからず、忙しい身である事は肩書から容易に想像が出来る。
一抹の不安と、少しの安堵を覚えた私は、ただＯＢのおじいちゃんを信じるしかなかった。