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約束
職場の人に仏具店の人の連絡先を受け取った私は、さっそく仕事のお昼休みに電話を掛けてみた。
一応、話はしてあるらしく、私の名前も伝えているとの事。
早めに連絡して一度会う時間を決めたいとの事だったので、少しでも早くという思いからだった。
電話に出たのは、優しい穏やかな雰囲気の声をした男性だった。
営業をしているだけあって、言葉使いや受け答えも丁寧である。
が、実はこの電話で対応してくれている人は、OBの人の知り合いではない。
その部下にあたる人である。
やはり、直接私の対応をする時間などないのだろう。
しかし、問題はそこではない。
私はお墓の知識が皆無な為、その専門的知識をもつ人。正直誰でもいいのだ。
色々と詳しい話を聞き、費用や期間なども知りたい。
石を選ぶ基準や判断材料などは、しっかりと聞きたい。
その事を私は電話で伝え、まずは一度計画を立てる意味でも、一度お店に来てほしいとの事だった。
そのまま会う日取りを決めて、私は電話を切った。
これからが本番である。
お墓というものは、1度建立するとそうそう簡単に作り変える事は出来ない。
家ならばリフォームという手段があるだろう。
車も中古車や展示車を買ったり見たり出来る。
が、お墓のリフォームというものは存在するのだろうか。
そもそも、お墓のリフォームとは何なのか。
私はそれを聞いた事がない。
お墓のリフォームがあるかもしれないが、やはり納得のいくものを作りたい。
妻の為にも。
そして私がそこにいずれ入る事になるのだから。
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