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年金
妻は国民年金に加入していた。
もちろん、毎月支払いもしており、本来ならば65歳から受給出来ていただろう。
国民年金や厚生年金は本人が死亡した際、家族が遺族年金というものを受け取れる。
私はその手続きをする為、役所へと向かった。
そこで私は、これまでの人生で最も納得のいかない事を知ることになる。
私は、妻の実家の近くにある年金センターへと向かった。
必要であろう書類には目星がついている。
死亡診断書、母子手帳、私と妻の身分証、年金手帳、印鑑、戸籍謄本や住民票。
念のために葬儀社でもらった書類も持ってきている。
問題はないはずだ。抜かりはない。
私はどこか、弔い合戦をする戦国武将にでもなったような気分だった。
受付を済ませ、ブースへ案内される。
そこで遺族年金を受給したい旨を伝え、手続きを開始する。
すると職員は、私が持ってきた書類に目を通し、妻の年金手帳を参照していく。一度、席を外したがすぐに戻ってきた。
そして一言、言い放ったのだ。
『遺族年金の受給は難しいですね』
と。
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