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意匠
私は悩んだ末、石は中国産のものにした。
吸水性が低く、綺麗に手入れをすればずっと新品のように輝く石。
やはり綺麗な状態を維持したいと思った。
妻が眠るお墓。その石。
侘寂の精神が嫌いなわけでもないし、むしろ私は好きな方である。
が、やはり妻にはいつまでも綺麗なままでいてほしい。
そう思うのだ。
墓石にする石が決まると、次は意匠。
つまり墓石のデザインである。
ほとんどの墓石は、中心部分に「〇〇家」などが彫られている。
が、近年はそれも多様化しており、まずはそこから決めていく事のだ。
故人が好きだった本の一節、聖書の一節、故人の名前の一文字、故人を表現した漢字一文字、南無阿弥陀仏。
それは本当に色々なパターンがあり、決まりなどはないらしい。
だが、故人に関するものにした場合、その後、同じお墓に入る人にとっては何の意味もなさない気がする。
私は分かりやすく「〇〇家」とする事にした。
今度はそれを洋風にするか和風にするか。
和風のお墓と言えば、所謂よく見かけるお墓の事。
下段は二段くらいの四角い段差になっており、その上に縦長の石が鎮座しているあれ。
洋風となると、その縦長の部分がやや横広い長方形になる。
形だけでいうとテレビが最も近いかも知れない。
それだけでも雰囲気はガラリと変わる。
確かに、洋風のお墓なら漢字一文字などの方がデザインとしては良いかも知れない。
逆に和風のお墓だと、漢字一文字では寂しすぎる。
なるほど。そういう事も踏まえて考えなければならないのか。
さらに最近では、洋風のお墓の場合、飾り彫を入れる事も増えたとの事。
例えば、愛犬だったなら犬、愛猫家なら猫、花が好きだったら花。
そういうものを、周りに彫る事も可能らしいのだ。
どうやら、思っていた以上にお墓のデザインは楽しそうである。
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