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音楽
私は、そんなに悩む事もなく意匠を決めていった。
外観は洋風を選択。理由は簡単である。
霊園では未だに和風のお墓が多い。ならば、洋風の方が分かりやすいし目立って良いだろうという安易なもの。
そして、大きく「〇〇家」とシンプルに彫ってもらう事にした。
お墓の横には、墓誌を置いてもらう事にする。
これは没日と年齢と名前。この3つだけが記された極めてシンプルなもの。
だがそれは、唯一お墓の中を知る事が出来るものであり、妻の名前の横には私の名前が彫られるであろうものでもある。
そして私は、「〇〇家」の横に、あるデザインをお願いした。
左上に音符、右下にマイク。この2つである。
私も妻も音楽が好きで、バンドをしていた。
妻は歌う事が何よりも好きだったが、ピアノも弾けていた。
私は元々音痴だった事もあり、ドラムを高校生からやっていた。
多少はベース、ギター、キーボードも弾けるが、得意ではない。
そんな2人だからこそ、音楽を通して出会い、交際をし、結婚した。
いつか一緒にバンドを結成してライブをしたいと話していた。
ならば、音楽に関するようなデザイン彫をしたいと私は思っていたのだ。
デザイン彫は洋風のお墓ではよくあるもの。
資料を見せてもらうと、予想通り、音符とマイクのデザイン彫はあった。
種類は少なかったが、それで十分である。
私の注文通りのデザインをパソコンで作成し、墓石の大きさなどを決定して資料を作成してくれる事になった。
その資料を見ながら確認し、想像と違えばまた意匠を決め直す事になる。
この作業が重要なのだ。
納得するものを作らないと、取り返しのつかない事になりかねない。
ならば慎重に、真剣に選び、私の頭の中にあるお墓になるようにしなければ。
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