回忌

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回忌

新しい年を迎えた。2023年である。 年内にお墓が完成したという連絡はなかった。 だが、完成予定日は1月8日。遅れているわけではないだろう。 お墓の完成が待ち遠しくも感じるようになった時、妻の命日を迎えた。 そうか。 もう妻が旅立ってから丸2年が経ったのか。 つまり今年が三回忌になる。 回忌の数え方は数えになる為、3年目にあたる年が三回忌という事になるのだ。 もっとも私は、母親に言われるまで回忌の数え方など知らなかったのだが、三回忌だからといって何か特別な事をしようとは思っていない。 1月2日という世間ではお正月ムードの中、近所にお経が聞こえたりするのは、やはり気を使ってしまう。 そういえば私はこの2年間、お正月にも関わらず、 誰かから言われない限りは自分から 「あけましておめでとう」や「おめでとう」など言っていない。 もちろん三が日が過ぎれば、普通の日常になるわけで、当たり前のように「おめでとう」という事はある。 だが、私からすればお正月は決しておめでたいものではなく、妻が旅立っていった辛い日になっている。 そんな私が「おめでとう」などと言えるはずもない。 毎年お正月の三が日は、妻と一緒に過ごす。 お正月番組でも見ながらお酒を飲み、線香を絶やさずに焚く。 去年も今年もそうだったように、これから先もずっと私のお正月は変わる事はないだろう。
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