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ジャケットを幾つか羽織ってみる。
ほんの少しだけ大きいくらいが、ジャケットは丁度いいらしい。
確かにピチっとしたジャケットなど、恥ずかしいだけで羽織っている人を見た事もない。
私に合うジャケットのサイズが決まり、裏に苗字の刺繍を入れてもらう事にした。
これも苗字という決まりはなく、下の名前でも良いらしい。
親戚などが集まる場合、全員が同じ苗字になるので、下の名前で刺繍をすると分かりやすいとの事。
まぁ、それは大丈夫だろうと苗字でお願いした。
靴やベルトも見てみた。
やはり新品は綺麗でカッコいいものばかり。
そういえば、私はベルトを持っていただろうか。
基本的に、常に父親のものを借り続けていた為、私が持っているベルトといえばジーパンで使うようなものになる。
この際だ。ベルトも買っておこう。
そうなると、やはり靴も気になる。
革靴は普段から履かなければ、下駄箱の住人となってしまう。
いざ履く時には、白いカビが生えていて履けるものではなくなっている事がある。
私の革靴も現状が分からない。
が、あまり状態が良くなかった事は覚えている。
「いっそ、全部新品で揃えてしまうしかない」
私の心の中の悪魔がそう囁いた気がした。
気付くと私は財布の中身を確認し、革靴を熱心に選んでいた。
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