当日

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2023年1月29日 1月最後の日曜日に、妻の納骨をした。 事前に妻の両親には連絡をしており、納骨の参加者は私、私の両親、妻の両親、妻の兄、私の子供。計7人となった。 この日も、やはりと言っていいように雨。 土砂降りではないが、小雨がチラつく中での納骨となった。 どうやら私は雨男で間違いないらしい。 朝のうちは晴れていたのだが、時間が経つにつれ、徐々に雨足が強くなっていった。 納骨でのお経は、母に教えてもらったお寺の住職にお願いをした。 今の住職のお父さんにあたる人が、私の名前を命名したらしい。 が、それっきりで私は一度も会った事などなく、電話での依頼をした程度に過ぎない。 どんな住職さんなのかすら、検討もつかない。 当日の時間と霊園を伝えており、霊園の事務所前での待ち合わせとなっている。 このお寺の住職さんは、母の実家では定期的にお経をあげているらしく、母の実家とは今でも繋がりがある。 私が電話で依頼する際にその話をした為、初対面での電話相手でも無下には出来なかったのだろう。 商売だからと割り切っている住職さんなら話は別だが。 約束の時間は午後1時。 妻の両親達も昼食をとってからの方が良いだろうと考慮しての時間にした。 私は午前11時にはお墓に来ていた。 納骨式をするとなると、やはりお供え物が必要になる。 お墓も綺麗にしておきたいし、お花も綺麗に飾っておきたい。 そういう時間を考慮すると、やはり1時間では心もとない。 少し早めに余裕を持っての行動を開始した。 だが、私がお墓についた時には、すでに仏具店の方が来ており、お墓の掃除をしてくれていた。 これには、さすがに驚いた。 勝手な偏見だが、納骨式が午後1時からなら、早く来ても30分前。 そこから家族に簡単な納骨式の流れを説明して、人によっては納骨式前に帰るくらいだろうと思っていた。 言い方は悪いが、あくまで仏具店の社員さんである。 納骨式に参列する必要はないし、2時間以上も前に来てお墓を綺麗に掃除する必要もない。 むしろそれは私達家族がやるべき事であり、手を出さなくてもいいものだ。 この社員さんが特別なのか、はたまた仏具店の方針なのかは分からないが、こんなにも真摯に納骨に向き合ってくれていたのだと改めて感じ、冷たい風が吹き抜ける1月末の寒空が、少し暖かくなった気がした。
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