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第7話 転校生現る
今日は小太郎がお休み。なので、同じクラスの友達が小太郎しかいないボクは、ただただ静かに過ごしていた。
そんな中、ボクの10メートルほど前にいた、おそらく小太郎信者の一人が話すのを耳に捉える。
その内容とは……
信者「嗚呼、こたろーちゃんのいない学校なぞ来る意味が無いのに…」
モブC「まあ、気持ちは分からんでもない。でもさ、元気出せよ!なんか転校生来るらしいしさ」
信者「それで俺の元気が復活するとでも思ったのか?」
モブC「いやあ、それは知らんけども」
というもの。
ここで注目したいのは、「転校生が来る」というところ。もしかしたら友達になれるかもしれない、と密かに思っているボクである。
◇
一時間目の授業が終わる。しかし、例の転校生はまだ来ない。
先生が「転校生はちょっと遅れるそうです」と言っていたので、転校生が来ることは本当らしい。
ボクは授業間の休憩時間を利用して、明人くんに会いに行くことにした。
「明人くん!」
明人くんのいるクラスにお邪魔したところ、ボクが呼ばずともこっちに気付いてくれた。マジでありがたい。
「どうしたんだ、姫野」
明人くんに尋ねられる。
「や、今日転校生来るらしいよって伝えに来たみたいな…」
クラスに話せる人がいないからとは言えない。
「そうなのか」
心なしか驚いた様子の明人くん。
「あれ、転校生来るって知らなかったの?」
何となく意外だ。
「ああ。だが、今日学校の前に豪勢な車がとまっているのを見かけたから、それに転校生が乗っていたかもしれんな」
まじか!豪勢!!でも、先生が転校生が来るのは少し遅れるって言ってたような……。
「そっか。楽しみだね!」
ボクが言うと、
「そうだな」
と返された。
少し元気がないような気がする。まあ、気のせいか。
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