第3話 4時間目の体育にて

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第3話 4時間目の体育にて

 「では、二人組になってくださーい。」  その言葉を聞いた瞬間、姫野ゆうりは「きた、悪魔の呼びかけっ!!」と反射的に思う。  それもそのはず、姫野ゆうりには同じクラスの友達がいないのだ。あくまでも、“同じクラス”なので、この場合永岡は含まれない。  しかも、悪い事にこのクラスの人数は奇数。  まずい、このままでは既に二人組ができているところに気まずく入らなくてはならなくなる!!  それだけは絶対に避けたい。  ならば、「自分から話しかければいいじゃん?」と言う者、または思う者がいるだろう。  しかし、この姫野ゆうりは、一度ペアになることを断られているのだ。  たかが一度、されど一度。  少しでも触れるとバリッバリになるガラスハートの持ち主な姫野ゆうりは、その時の記憶に囚われ、前に進むことができない。    ちなみに、姫野ゆうりの誘いを断った男(モブAとする)は、後にこのような事を友人と話している。    「なあおい、俺、ゆうり様に体育でペアになろうって誘われちゃったんだけど!!」    「うっっっそだるぉ(巻き舌)モブA!?断ったんだよな!?なあ!!?!」    「うん、断った…可愛すぎて一緒にいたら狂う……」    「それでいい、それでいいんだモブA…抜け駆けしたら許さねーからな!マジで」    さて、時は先程の場面に遡る。  何もできずに、ただただ周りのクラスメート達が二人組をつくっていくのを見守る姫野ゆうり。  『叫びだしてやろうかな』と危険な衝動に駆られたが、    その瞬間  「あ、あの…」   と、少し控えめに話しかけられた。    『もしや、ボクとペア希望!?嬉しい!神!もう一生ついてく!!』    俄然テンションの上がった姫野ゆうりが、勢いよく振り向くと……    「ぼくを、ゆうり様の弟子にしてください!!」    と言われた。    「え、えええ〜〜!?」  え、えええ〜〜、である。    しばらく衝撃の余韻に浸る姫野ゆうり。  気づいたときには、体育が終わっていた。  
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