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第4話 純情ボーイの悩み事
「姫野ゆうり弟子入り希望者事件」の起きた翌日のお昼休み。
姫野ゆうり、永岡、何故かいる原、そして例の弟子入り希望者は食堂に集まっていた。
ここ、尚早明和高等学校の食堂は、ガラス張りでできているため日当たりが良く、白を基調とした色彩が清潔感を醸し出している。
さて、最初に口を開いたのは、姫野ゆうりだ。
食堂メニューのあんかけ焼きそばを頬張りながら、
「この子は、田口小太郎くんっていいます!」
と言った。
そんな様子も非常にかわいく、先程から周りの人々がちらちらと姫野ゆうりの方を見ている。
その目線に少し憤りを覚えながらも、永岡が、
「田口…というのか。よろしく」
と答える。
ちなみに、食堂メニューのチョイスはカツカレーだ。
すると、それにかぶせるように、
「こたろー!よろしく!」
と、原。食堂メニューチキン南蛮。
「は…はい、よろしく…お願いします。」
弟子入り希望者、ならぬ田口が答えた。
そして、隣に座る姫野ゆうりに小さく話しかける。
「ちょっと!ぼく、結構人見知りなんですけど!!?なんで二人も知らない人がいるんですか!!」
また、姫野ゆうりも、
「いや、そうは感じないよ!?」
小声で返す。
「でも、嫌だったかな?だとしたら、ごめんね。」
かわいい
オーディエンスが湧いた。
思わず「ウッッ」となりながらも、田口が、
「ホントですよ!!いや、二人ともいい人そうだけど!」
と答える。少しフォローしながら。
「それで、小太郎くん。なんでボクの弟子になろうとしたの?」
やっと核心に迫る姫野ゆうり。
「……それって、二人にも言ったほうが良いですかね?」
まだ、小声で喋っている姫野ゆうりと田口。その様子を永岡と原が不審に思っているのは確実だ。
「いや、言いたくなかったら言わなくても良いよ。二人にはそれっぽいこと言って納得してもらうから。」
そう、姫野ゆうりが答えた瞬間、田口が、
「いや、だいじょぶです。」
と言ったかと思うと、姫野ゆうりと二人に向かって、
「ぼく、生徒会長のことが好きなんです!」
と声高に宣言していた。
田口小太郎という者は、決断が速いのだ。
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