第4話 純情ボーイの悩み事

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「「「えええええーー!!!」」」    三人の叫びが食堂内に響き渡る。    「うるさいぞ原」    「いや、おまえも叫んでたでしょ!?」    やはり仲の悪い二人。    「えっえ!!?生徒会長が好きなの!?」  「そうなんです。だから、モテモテなゆうり様、いや、師匠に!その秘訣を教えてもらおうと……!」  テンションの上がる田口。    「いや、姫野は、モテたくてモテているわけじゃ…「秘訣とかないんだけど!??!」  動揺した姫野ゆうりが、永岡のセリフにかぶせながら言う。  「………え?秘訣、無いんですか?」  少し落ち着いた様子でたずねる田口。  「うん、なんというか、その……」  「ゆーりちゃんは、元がめちゃくちゃかわいいからモテるんだよねー!!」  原の無邪気なセリフに、凍りつく姫野ゆうりと永岡。    そして、田口は、  「やっぱり、そうなんですか……」  とつぶやき、それから何も喋らなくなってしまった。  流石に、「なんかやばいことを言ってしまった」ということを感じ取った原が、姫野ゆうりに小声で話しかける。  「ねえ、おれ、やばいことしちゃった?」  「まあな!!?この空気どうしてくれるの!?」  「お前のせいだぞ、原」  「ちょっと!言い方きついよ明人くん!」  「ううー、ゆーりちゃん好きー!付き合ってください!!」  「いや、付き合わないから!」  「どさくさに紛れて姫野に告白するな。お前の存在をなかったことにするぞ」  「怖」  「というか、本当にどうするんだ。何も喋らなくなったぞ」  「うーん…まあ、なんとかするっきゃないよ」  そう言うと、姫野ゆうりは、  「小太郎くん」と話しかけた。  「あの、さ、必ずしも顔だけってわけじゃないと思うよ。だって多分、ボクの性格がキングオブくそだったら、誰も好きになってくれないと思うし、それに……「分かりました」  姫野ゆうりをさえぎりつぶやく田口。そして、何処かへ走り去っていった。  その様子をポカーンと眺める三人。  しばらく経ってから、ハッとしたように声を出す。  「行ってしまったな……」  「うん…」  「……なんか、変なことにならないといいけど……」    しかしながら、その姫野ゆうりの予感は当たる事となる。 ◇    翌日、姫野ゆうりがクラスにつくと、何やらクラスメートがザワザワしている。  よくよく見ると、大きめな人だかりがクラスの隅にできている。  どうやらその中心に話題になっている生徒がいるらしい。  何となく気になり、いそいそと人だかりに近づいて、その中心を覗き込むと……  そこには、一人の美少女がいた。  「え!?はああ!!?」  思わず叫ぶと、  周りのクラスメートが  「いや、大丈夫っす!たとえ、田口が見た目完全に女の子になってたとしても、俺は変わらずゆうり様が好きです!!」  だとか、  「一生ついていきます!ゆうり様!!」  だとかお門違いな案じ方をする。  しかし、“田口”って、まさか……  しばらくの間その美少女を見つめていると目があう。  そして、  「あ、師匠!」  と美少女は嬉しそうに言った。  この呼び方をする奴は、あいつしかいない。  「まじで、小太郎くん……?」  かくして、田口は栗色の髪が眩しい美少女になっていた。  その後、永岡と原のもとにも美少女にしか見えない田口を連れて行くと、    またもや  「こたろーくんがこたろーちゃんになったとしても、おれは変わらずゆーりちゃんが好きだよ。」  と心外な案じ方をされた。  また、永岡は、尋常ではないテンパり方を見せ、女嫌いが露呈した。    人生でも一ニを争う、濃い一日であった。  
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