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第6話 生徒会長のオモテとウラ
「姫野さんいますか?」
生徒会長がクラスに来た。
しかも、ボクのことを呼んでいる。
何故!?ボクなんかしたっけ!?
にしてもイケメンだな生徒会長。これは、こたろーちゃんが好きになるのもちょっと分かるかも……あ、そういえば、こたろーちゃんは…
ボクが小太郎の方を見ると、小太郎は何故か顔面蒼白になっていた。
「わわ!?どしたのっ!!?」
たずねると、小太郎は目を半開きにして顔をぐいっと近づけ、
「あいつには、注意しなよ。」
と言った。
何!?怖っ!怖いよっ!!?!
ボクが恐怖で震えていると、
「あ、姫野さんいた。」
生徒会長に見つかった。
「わはー……見つかっちったあ…。」
ボクは、そのまま生徒会長に連れて行かれることになった。
◇
「で、あのお…ボク、何かしちゃいましたかね……。」
現在、ボク達は生徒会室にいる。
しかも、二人きりで!二人きりで!!
何もないといいけど……。
「ああ!いや、別にゆうりちゃんが何かした、とかではないんだけどね…」
良かった。これで、「あなたはとんでもない問題を起こしました。退学してください。」とでも言われたら、親に顔を見せられないもんな…。
ん?そういえば生徒会長、今、“ゆうりちゃん”って言ってなかったか?
何となく嫌な予感がした次の瞬間、
ボクは、生徒会長に押し倒されていた。
「っえ!?はああああああ!!??!」
「しーっ。変なコトはしないから、静かにしてくれない?」
「やっ!そんなこと言われても!!」
こちとら、下手したらきれいなカラダでいられなくなるかもしれないのだ。
黙ってやられるわけにはいかない。
「なんでもっ!何でもするから!どうか、カラダだけは……!!」
「え?いやいや、別にカラダが目的じゃないよ。」
「へあ?」
嫌な予感パート2
ボクがいそいそと生徒会長からの脱出を試みると…
「だめだよ。何でもする、って言ったでしょ?」
と、更に強く押さえつけられる。
ぐっ!!「何でもする」などと不用意に言わなきゃよかったぜっ。
「じゃあ、一体ボクは何をすれば……?」
「えっとね」
そう言うと生徒会長は、どこからともなくミニスカナース服を取り出した。
そして、
「これをゆうりちゃんに着てもらいたいんだ。」
と言った。
わあ、わあ、うわあーーーー
「生徒会長って、変態なんですか?」
「え!?違うよそんな!僕はただ恥じらいながらかわいい服を着るかわいい男の子、いや、男の娘が好きなだけで……」
変態じゃねえか!!
超絶ハイスペック生徒会長は、下級生にミニスカナース服を着せようとするやばい人でした。
「なんというかその…ビックリ、しました。」
いや、さっきからなんかハァハァしてるなって思ってたけど。
「とにかくっ!着てくれないかな!!君のジュリエットを見たときからかわいいなって思ってたんだ。お願い!!!」
圧がすごい。
「いやっ!!やめてください!!」
ボクがとてつもない恐怖を感じていると……
「ドゴオォン!!」とドアが音を立てた。
更にもう一度、そしてもう一度続いたあと、ドアはもう、ぶっとんでいた。
その、かつてドアがあった隙間から、
「何もされてないか!?」
「ゆーりちゃん大丈夫っっ!??!」
「ししょうっ!!心配させないでくださいよっ!!!」
と、永岡、原、小太郎の三人が続々と入ってきた。
「み、みんなあぁ……」
「ししょう〜〜!!!」
抱き合う小太郎とボク。
その様子をみながら、少し涙ぐむ永岡と原。
そして、生徒会長は……
「美少年と男の娘の感動シーン…眼福ナリ……」
とぐふぐふしながら小さくつぶやいていた。
「「キショ…」」
ドン引きである。
◇
「ごめんねゆうりくん。怖がらせてしまったね。」
先程ぐふぐふしていた人物とは思えないほど、爽やかな顔、口調で言う生徒会長。
「いや……平気です…。」
そう答える。内心平気なわきゃねえええよ!!!だが、少しでも距離をおきたかった。
「そっか。じゃあ、またね。」
生徒会室をあとにする。
すると小太郎が、
「ね、気をつけたほうがいいって言ったでしょ?」
と言ってきた。
「うん…怖かった……」
もう二度と、生徒会長にはのこのこついていかない!!と強く誓う。
にしても、イケメンだったなあ〜、生徒会長。
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