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地下の手紙1
息子へ
この手紙を読んでいるということは、お前の冒険は順調なのだろう。
古い宝箱から手紙が出てきて驚いたと思うが、私とて魔道士の端くれ。ダンジョン発見から数年をかけ、多少のルートを開拓してある。
身体が動く内に、思い出を供としてひと歩きしている所だ。
それにしても、お前が私と同じ道をたどっているとは何とも感慨深い。
あまり親子らしい会話もできなかった我々のことだ、一筆したためる気になるのも許して欲しい。先の攻略を頑張ってくれ。
ところで、今お前が実感しているように、このダンジョンには数え切れないほどの横道がある。
我が家の地下室しかり、それらが思わぬ場所へ通じていることもあるだろう。もしモンスターや他の冒険者に遭遇したとて無理に戦う必要はない。お前の目的はあくまで最後の宝箱であり、そこに封じられた魔力なのだから。
……率直に言うと、地下で大爆発を起こされて屋敷が吹き飛ぶのは悲しい。
お前もまさか到着早々ダンジョンへ直行してはいまい。
変わらぬ生家を見て少しは懐かしさを感じてくれたはずだ、慎重な行動を願う。
そうそう、階段の踊り場に掛けていた母さんの美しい肖像画が消えているのは、私の棺に納めてもらう約束をしたからだ。寂しく思ったら申し訳ない。
冒険を勧めた当人が言うのもおかしいが、くれぐれも気をつけて進むように。
妻のもとへ向かっている父より
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