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道の途中に、帰郷を願って行き倒れた冒険者がいただろう。
面白半分に狩り出され、傷を負って逃げてきた妖精がいただろう。
人間と姿が異なるというだけで理不尽に住処を追われたモンスターの親子がいただろう。
お前は泣いて命乞いする彼らを葬り去って装備や魔力を手にし、最奥部にたどり着いた。最高の力を得たいという浅ましい我欲の下に。
なぜ見逃してやらなかった?
なぜ少しも心を動かさなかった?
なぜ歓喜の声をあげながら弱き者の命を奪った?
もう気づいているように、哀れな犠牲者は私が配置したオブジェクトだ。
すべてのスイッチは順調に押された。そろそろ魔法が発動する頃だろう。私の人生の成果、漆黒の大魔法が。
おめでとう、息子よ。
お前は望み通り力を得る。
そしてお前は魔王となり、
世界中の勇者がお前を殺しにくる。
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