(7)秘密の花園

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(このアパートじゃ無理なんだもん)  ペット不可な上にそれほど広いわけでもない。おまけに新生活を始めたばかりの日和美(ひなみ)に手の掛かる生き物をお迎えするゆとりなんてない。  だからここ最近はずっと、『犬姫』を手に取ることを控えてきたのだ。  まぁでも……代わりにと言っちゃあ何だけど――。 「ティーンズラブとボーイズラブは日和美さんのお好きなジャンルですか?」  ふわっふわの見目麗(みめうるわ)しい王子さまを拾ってしまったから日和美の庇護欲は結構満たされている。  そんな今なら『犬姫』を再読しても大丈夫そうに思えた。 「うんっ。すっごく好きなジャンルなんです♪」  ふわふわ王子、有難う!などと思いつつ、ほわんとした頭で不破(ふわ)の言葉を全肯定してからしばし後。  日和美は今更のようにハッとした。 (きゃー! 私ってば何嬉しげにヤバイこと話しちゃってるのよ!)  初出勤ハイと、不破ロス&再会ハイ、恐るべし!  それに――。 (ちょっと待って、ちょっと待って? 不破(ふわ)さん、そもそもティーンズラブとかボーイズラブって何ですか?って聞いてこないのおかしくない!?)  聞かれても困るけれど、聞かれないのも何だか怖い。  それは、ひょっとして不破がその言葉を元々知っていたということだろうか。  それとも――?
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