(12)意識しないなんて無理!*

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「俺はお前が思ってる以上に欲張りなんだよ。いずれ心も身体もキッチリ捧げてもらうからな? そのつもりでいろよ?」  言ってククッと楽しげに笑う信武(しのぶ)に、日和美(ひなみ)はそう遠くない未来、自分は彼に完全に絡め取られてしまう気がしてゾクリと身体を震わせた。 「あ、あの、信武さんっ。も、分かったので……その……、そろそろ離して頂けませんか?」  それを誤魔化すみたいに自分に回された腕にそっと触れたら、「――ああ、そうだな。お前抱き心地いいし……くっそ名残(なごり)惜しいけど……確かにそろそろ起きねぇと遅刻しちまうな」と案外すんなり腕を(ほど)いてくれて。  強引なのかと思えば、煮え切らない日和美の覚悟(きもち)を尊重するみたいにスッと引く。  そんな信武の意外な一面に触れて、日和美は彼のことを意識せずにはいられなくなっている自分に気が付いた。 (二人は全然違うと思ってたけど……そんなことないのかも知れない。――だって私、不破さんは信武さんの中にちゃんといるって気がしてるんだもの)  それと同時、認めたくはないけれどそう思わずにはいられなかった。
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