(1)真夜中の通販

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「あああーーーっ!!」  布団がズルリとバランスを崩して、あろうことか柵の向こう側へずり落ちて行くのが見えて――。  慌てて手を伸ばして端っこを捕まえた!……けれどダメだった。  重い木綿入りの掛け布団は、日和美(ひなみ)の手をスルリと抜けて真っ逆さま。  ちょうどさっき見るとはなしに見たスーツ姿の男性目がけて落ちていくではないか! 「きゃーーーっ! 危ない! 避けてーっ!」  声を限りに叫んだけれど、遅かった。  は、何故だかとってもとってもスローモーションに見えた日和美だ。  ふわっふわの色素の薄い男性が「え?」と言う顔でこちらを振り仰いだのが見えて、「わ! すっごいハンサム!」とつぶやいたと同時、その顔がゆっくりと布団に覆い隠されて見えなくなった。
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