(13)立神信武という男

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「――なぁ日和美(ひなみ)。それって、ときめいてくれたって解釈であってるよな?」  信武(しのぶ)が〝俺に〟のところにことさら力を入れるから。  日和美は図星を突かれてしまったと、ただただ動転して。「し、信武さっ、……ほっ、本が潰れてますっ!」と斜め上なことを言いながらジタバタした。 *** 「んんーっ、……あ、はぁ、……んっ」  結局その後、さんざん濃厚な口付けの洗礼を頂いて息も絶え絶え。  ヘロヘロの日和美は信武の腕からやっと解放されて、それで何とか途切れ途切れ。 「わ、……(わら、し)……、こ、れを本棚にしま、ってきます。なのでお、風呂、は……やっぱり信、武さんがお先にど、うぞ」  と告げて脱衣所を逃げ出したのだけれど――。  上機嫌の信武は当然のように風呂上がりの日和美を脱衣所の外で待ち構えていた。 「ひっ!」  日和美が小さく悲鳴を上げて、脱衣所に逆戻りしようとしたのだってきっと信武にとっては想定の範囲内。  グイッと日和美の手首を掴むと、そのまま自分の方へ強引に引き寄せた。
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