(15)しばらく一人にしてください

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(リシュエールさんってお名前の方がピンとくる気が)  ともすると、金髪と表現しても通用するような毛色のふわふわな髪と、色素の薄いブラウンアイ。  ビスクドールみたいに(なめ)らかな色白の肌。  ロシア人の血を引く母親譲りらしい彼の見た目には、いかにも日本人でござい♪と言った「立神(たつがみ)信武(しのぶ)」なんていう猛々(たけだけ)しい名前よりも、「リシュエールなんとか」という柔らかな響きの方が絶対に似合う。  気が付けば、そんなどうでもいいことを思ってしまっていたのは、立神信武という男が日和美(ひなみ)の見ていないところ(?)で、他の女性と懇意(こんい)にしていた(?)という現実から逃げ出したかったからに他ならない。  それにしても。 (そっか。信武さんは私がまだ漫画ばっかり読んでたような頃から小説を書いてらしたんだ)  十六歳といえば高校一年生。  小学・中学と少女漫画ばかりを読んでいた日和美は、高一の頃にももちろんそうで。  高二になった頃、たまたま本屋でお気に入りの漫画家さんが裏ペンネームで表紙絵を描いておられたのをきっかけに、萌風(もふ)もふ先生の作品に出会うまでは小説自体避けてきたくらい。  日和美が持っている漫画の中ではキス止まりの絵柄しか描かない漫画家さんが、十八歳未満は読んではいけませんよ?な雰囲気漂うエッチな表紙絵を手がけていらしたことにドキドキして。
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