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先日も、『紅茶王子』を書いた影響でお茶にハマったとつぶやいていらした萌風もふ先生に、抹茶入玄米茶、深蒸し京仕立て、こいまろ茶、煎茶、かぶせ茶の五種の茶葉がセットになった、『京都緑茶飲みくらべセット』を手紙に添えて送ったばかり。
そんな感じで高校生の頃からずっと……。
月に一通萌風もふ先生へのファンレターを綴り続けてきた日和美だ。
それを萌風もふ先生ご本人にも覚えていてもらえたと知って、嬉しくないわけがない。
だけど――。
バカだのなんだの交えながら、ツンと信武がそっぽを向いたのは、ヤキモチを妬いてくれていると自惚れてもいいのだろうか?
萌風もふ先生のアレコレよりもそっちの方が気になってしまった時点で、日和美は自分の中で相当信武への想いが強くなっているのを認めずにはいられない。
「どうせ出かけなきゃなんねーんならついでにお前の顔が見れたらって期待してさ。わざわざ日和美の職場近くであいつと落ち合ったっつーのに。それが裏目に出るとか本当ツイてなさ過ぎて腹立つんだけど!」
――見かけたんなら声掛けろよな!?と恨み節まじり。
信武が日和美を睨みつけて忌々し気に頭をガシガシ掻くのでさえも、盛大な愛の告白に聞こえてしまう。
「あ、あの……。信武さんは……私のこと、本気で好き……なん……です、か?」
それでしどろもどろ。
そんなことを聞いてしまった日和美だ。
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