(2)ふわふわさん、拾いました!

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 何が素敵って、とにかく身近にいそうな……でも実際にはそうそういないキャラ達が堪らなくのだ。  手が届きそうで届かない絶妙な感じが、夢見がちな乙女心を刺激して悶えさせる。  萌風(もふ)もふ先生は、自分もいつかあんな恋をしてみたいと思わされる、そんな作品ばかりを書く作家さんだった。  そして――。  正直いま日和美(ひなみ)の目の前にいるふわふわさんは、萌風(もふ)先生の処女作『ユラユラたゆたう夏祭り〜金魚すくいですくったふわふわドS王子様からの濡れ濡れな溺愛が止まりません!〜』に出てきたヒーロー・アルノエル王子にそっくりで。 (まぁ、アルノエル王子は金魚の化身だから、ふわふわさんとは違うんだけどっ)  アルノエル王子、最後は人魚姫よろしく泡になって消えてしまうキャラだ。  ――まぁ、後になって人間の姿でヒロイン・プリシラーナの元へ戻ってくるのだけれど。  日和美は、あのシーンでわんわん泣いたことを思い出す。 (アルノエル王子にはプリシラーナがいたけれど、は私が助けてあげなくちゃ!)  現実世界での恋愛偏差値小学生以下レベルだからだろうか。  日和美は、わけもなくそんな使命感にかられた。
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