(19)もう待てねぇよ*

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 このまま日和美(ひなみ)のなかに居続けたいのは山々だが、たっぷりと精液を吐き出してしまったから、そういうわけにはいかない。  信武(しのぶ)はゴムの根元を押さえつけるようにして中身が漏れ出さないよう気を付けながら、日和美から自身を引き抜いたのだけれど。  栓がなくなったからだろうか。  日和美のなかからサラサラとした液体が信武を追い掛けるみたいに押し寄せてきてシーツの上にあふれ出した。 (すげぇな……)  正直な話、信武は女性が潮を吹くのを見たことがないわけではない。  だが、日和美は性行為自体初めてだったから。  血の混ざった体液で汚れてしまった日和美の色白の太ももやお尻を見て、何だかとてもいけないことをしてしまったような気持ちがして。  処女相手なら大事を取ってタオルを敷いたりするのに、日和美が相手だとそのゆとりもなかったことを、シーツのあちこちに付いた汚れを見て思い知った信武だ。 (くそっ。童貞のガキかよ!)  本当に好きな子を前にして、スマートで居られるなんて幻想だったと、信武は嫌と言うほど痛感させられた。 (次、そういうシーンを書くときは気ぃ付けよ)  こんな時にもそんなことを思ってしまう職業脳を呪いつつ、ぐったりと横たわったままの日和美にそっと触れる。 「おい、日和美。……大丈夫か?」  信武が肩に触れた瞬間、ビクッと身体を跳ねさせた日和美が、涙目で信武を見上げてくる。 「信武、さっ、ごめ、なさいっ。……私っ、お漏らししちゃい、ました……」  しゅん、と項垂(うなだ)れた耳と尻尾が見えそうな様子でつぶやかれた日和美の言葉に、信武は瞳を見開いた。
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