(3)君の名は

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 玄関からダイニングキッチンを真っ直ぐ南側に抜けた先にリビングにしている五畳半の洋間と、その右隣に万年床と趣味の本たちがズラリと並んだ六畳ほどの押入れ付きの和室。  洋間と和室両方から出入りできる形で南側、道路に面した広めのベランダが横たわっていた。  そんななので玄関を開けたらすぐ、真っ正面にベランダへと続く洋間(リビング)側の掃き出し窓が開けっ放しになっているのが見えて。  当然と言うべきか、干そうと柵に立て掛けたまま放置された敷布団と、まだ持ち出せていないもう一枚の掛け布団が床に放置されているのまで丸見えになってしまっていた。 (ゲッ)  そのことに内心青褪(あおざ)めた日和美(ひなみ)だったけれど、それでも不幸中の幸いだろうか。  いま日和美たちが立っている台所側からは、日和美がひた隠しにしておきたいエッチな本てんこ盛りの和室(寝室)は見えない構造になっていた。  ベランダに出て、和室の中をしげしげと覗き込んだり、リビングとの境目の引き戸を開けなければ大丈夫。  そのことに一応ホッとしたものの、日和美だって自分が可愛い。危険はなるべく回避したい。 「あ、あの……ソレ」  前述したように、ここはベランダが和室と洋室を繋ぐ形の構造になっているのだ。
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