Prologue

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「……どうやら僕は記憶を失くしてしまったみたいです」  の上に半身起こした状態で、色素の薄いふわっふわの癖っ毛男性が、困ったような顔で日和美(ひなみ)を見詰めてくる。 「き、おく……そーしつ?」  〝記憶喪失〟という文言が、現実味をともなわないままに頭の中に舞い降りてきた日和美は、パチクリと目をしばたたかせた。 「はい……」  超絶美形。芸能人アイドルも真っ青!という甘いマスクの男に子犬のようなウルンとした目で見つめられて、日和美は自分の中の母性本能がキュン♥と音を立てて覚醒したのを感じた。  彼、年齢はきっと、いま二十三歳の日和美より上のはずだ。  そう思った日和美だったけれど、正直なところ日本人離れした男の外観からは、ハッキリとした年齢は分からない。 (考えたくないけど……まさか十代とかだったりしませんよね!?)  なんて思ったけれど、服装がスーツだからきっと違うはず!と思い直した日和美だ。
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