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「――頼む。今すぐ目ぇ、閉じて口開けてくんね?」
この人は真夜中に私を叩き起こして、一体何を言い出すんでしょうね?
案外仕事が煮詰まって、何かヒントを得ようと私に協力を求めているのかも知れない。
ある秘密を暴露してくれてからというもの、信武は私に隠し事がなくなったのをいいことに、アパートへノートパソコンを持ち込んで仕事をすることが増えたから。
その一環かな?と思って。
絶対自分のマンションで書いた方がはかどるはずなのに、「移動する時間が惜しいだろーが」とかごねるんだから仕方がない。
付き合い始めて半年以上が経過したというのに……彼は相変わらず子供みたいな駄々をこねては私を戸惑わせるの。
付き合い始めてからかなり長いことずっと。信武は『アパートを引き払って俺んトコへ越して来いよ』とかしきりに言い始めて。
『そんな同棲みたいなこと、出来ません!』
そう突っぱねたら『今更だろ?』って笑われた。
確かにそうなんだけど、お互いに生活の拠点が別々にあると思うのと、それがひとつに統合されてしまうのとでは、気持ち的に大きな差があるんだもん。
仕方ないじゃない。
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