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「なぁに? お仕事煮詰まっちゃった……?」
問いかけながらゆるゆると身体を起こしたら、信武がチラリとダージリート王子に視線を投げかけた。
リビングではテレビが付きっぱなしなのかな?
ゴーン、ゴーン……と除夜の鐘が聴こえている。
「こら、時間がねぇんだ。理由は後から話してやっから早くしろ」
もう! この人は相変わらず暴君ですね?
それでもそんなところも含めて好きだと感じてしまうのだから、仕方がない。
私は言われたようにほんのちょっぴり口を開いて目を閉じた。
「このくらいで……ぃ、――んっ!」
――このくらいでいい?
そうつむごうとした言葉は、「い」の取っ掛かり辺りで信武からの噛みつくみたいに性急なキスで、彼の口の中へ吸い込まれてしまった。
そのままくちゅっ、とお互いの唾液をかき混ぜるみたいに舌を絡め取られて。
全身が信武の体温にとろけるみたいに熱を帯びてくる。
「ふ、……あっ、し、のぶっ……待っ、ぁんっ」
口付けの角度を深くするのに呼応して、信武の大きな手が私の胸の膨らみをフニフニと甘えるように包み込むから。
私はキュン、と下腹部が疼いてしまう。
「んっ」
そのくせ一番触って欲しい胸のとんがりには指先を掠めてもくれないとか。
なんて意地悪なの!
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