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「信武っ、お願……っ」
切ないくらいにキュンキュン疼く胸の昂りをいじめて欲しいとおねだりしようとしたら、リビングの方から『明けましておめでとうございます!』と言うテレビの声が微かに聞こえてきた。
途端、チュッと私の舌先を優しく吸い上げて、信武がキスを解いて身体を離してしまう。
中途半端に情欲の火を点された私は、唇を濡れ光らせたまま、呆然と彼を見上げて。
「明けましておめでとう、日和美」
ニコッと、まるで不破さんみたいな人畜無害な笑顔を向けられても納得いくわけがない!
ムゥーッと唇を突き出したまま「……ざいます」と小さく返したら「機嫌悪いな?」とキョトンとされて。
そんな顔してるけど、不機嫌の理由、絶対分かってるよね⁉︎と恨めしく思わずにはいられない。
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