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悔しいけれど、楽しくて仕方ないというのが、暗がりの中でも信武の声音から何となく推測出来て。
暗闇の中。日和美はギュッと下唇を噛んだ。
「……けどっ。さっき、し、のぶ……初めての私相手に今夜はもうこれ以上無理させるつもりはないって約束してくれました! だから私……今日はもう、絶対エッチなことはしませんから!」
実際、下腹部あたりにまだ違和感があって。
日和美は初体験を終えてからずっと、信武を中に受け入れたままみたいな錯覚を覚え続けている。
こんな状態でまたあんなことをするのはさすがに無理だ。
けど、もしそんなことを素直に信武へ話そうものなら、彼を変に喜ばせてしまいそうで。日和美はそのことは絶対内緒にしておこうと心に誓った。
それでしどろもどろ。
「そ、その……。お、お股のところがまだ変な感じしてますし……今夜はもう、身体を休……ま、せたいの……です」
言っていて段々恥ずかしくなってきて、もっと上手に――例えば下腹部とか婉曲的な言葉で伝えればよかったとゴニョゴニョと言葉を濁したら、信武が背後で息を呑んだのが分かった。
「……下、まだ痛むのか?」
ややしていたわるように問いかけられた日和美は、慌ててフルフルと首を横に振る。
「い、痛くは……ない、です。その、へ、変な感じがしてるだけで」
もう一度先ほどと同じ言葉を繰り返しながら、『具体的にどう変なんだ?』と聞かれたら〝まだ挟まってる気がしてるんです問題〟を告白しなければいけなくなってしまうと懸念して。『お願いだからこれ以上聞かないで!』と強く願ってしまった日和美だ。
その想いが通じたんだろうか。
信武はそれ以上は追求してこなかったのだけれど、代わりにペナルティーのことを再度持ち出してきた。
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