(3)君の名は

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 目の前でよろしく(?)布団を押さえてこちらを見てくるふわふわさんに、(あの時の不注意な私、グッジョブ! 素敵な王子様ゲットだぜ!)とか不謹慎なことを思ってしまった日和美(ひなみ)は、 「ははぁ! すぐにお持ち致します!」  それを誤魔化すみたいに時代劇口調で言って、いそいそと脱衣所へと向かった。  脱衣所の洗濯機そばの壁には、百円ショップで買ってきた白色のワイヤーネットが取り付けてあって、大小様々なフック式のカゴが掛けてある。  洗濯ばさみや布団ばさみなど、洗濯に関する用品は全てそこに入れてある山中家だ。  日和美は急いで布団ばさみを手に取ると、ふわふわさんの待つベランダへ急行した。 「お、待た、せっ、致しま、したっ」  はぁはぁと息を切らしながら、布団ばさみを(うやうや)しく両手に乗せて差し出したらクスッと笑われて。 「そんなに急がなくても大丈夫だったのに。――有難うございます」  と、この部屋に入って三度目のキラースマイルを頂いてしまう。 「はぅっ!」  その破壊力に思わずその場へくず折れそうになった日和美だったけれど、何とか理性で持ち堪えた。 ***  結局重い敷布団に至るまで全部ふわふわさんが干してくれたのだけれど。
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