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「なぁ、さっきのペナルティーなんだけどさ。……痛いことはしねぇって誓うから……もう一回電気付けさしてもらっていいか?」
聞かれて、日和美も真っ暗闇なのは信武の表情がよく見えなくて何だか落ち着かなかったので、深く考えずにコクッとうなずいた。
それで、再び信武の指示で〝コダマ〟がシーリングライトを少し抑えめに灯してくれたのだけれど。
ベッドに寝そべったままの日和美を見下ろすように、信武が身体を起こしたのが見えたから日和美はなんだかソワソワと落ち着かない。
「し、のぶ?」
なのに、未だ呼び捨てに慣れない日和美は、どうしてもスムーズに〝信武〟と呼びかけることが困難で。
それでも懸命に〝さん〟だけは付けないように頑張っている自分を褒めて欲しいと、誰にともなく思ってしまった。
「さっきさぁ。お前、俺の貸したTシャツ着て風呂から出て来た時、ノーパンだったじゃん? だからさ――」
言いながら信武が何の前置きもなく日和美のズボンに手を掛けてくるから、日和美は慌てて信武の手を押さえたのだけれど。
途端「日和美、これはペナルティーだから」と告げられて、やんわり手を退けるように言われてしまう。
「あ、あの……しの、ぶ! さっきも言ったけど私、今夜はもう……エッチなことは……!」
「ああ、分かってる。俺はただ――」
言ってスルリと日和美の足からズボンを抜き取ると、あろうことかちょっぴり丈が長めの上衣の裾までペロンとめくり上げてくるから。
「キャーッ! ヤダ、ヤダ! しの、ぶっ! 言ってることとやってることがチグハグだって!」
突然空気にさらされた下半身が心許なくて、慌ててジタバタもがいたら、信武が「ふぅーん」と吐息を落として「紐パンか……」と感慨深そうにつぶやいた。
「へっ?」
その声が真理を追求する学者みたいで……日和美は恥ずかしさも忘れて思わず信武を見つめたのだけれど。
「いや、お前が着替えに持ってきてたパンツ、どんなんだろ?ってずっと気になっててさぁ」
とか。
「な、にを言い出すんですかっ」
「だってお前……風呂上がり、ノーパンだったじゃん?」
思い出したくないことを引き合いに出されて、日和美の顔がぶわりと熱くなる。
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