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「もぅ信武のバカ! 変態! エッチ!」
などと罵る時だけはサラリと彼を呼び捨て出来てしまえることに気付けないまま。
日和美は信武をポカポカと拳で叩いた。
信武としては、本当に純粋に。
愛しい彼女が自分の家に初めてお泊まりに来るに際して、どんな準備をしてきたのか気になって仕方がなかっただけらしい。
「だって仕方ないだろ。パジャマが見たことねぇやつだったんだから」
必然的に下着も初お目見え品なのではないかと期待が高まっちまったんだよ!と真剣な目で見つめられて。
「し、下着もおろしたてです! これで満足ですかっ⁉︎」
日和美が信武をボカスカ殴りながら言ったら、「ああ。けど……せっかくだから脱がしてみてぇ。なぁ、この紐、解いてみてもいい?」とか。
「いいわけありません!」
言葉と同時、信武の脇腹に日和美の生足が繰り出した見事な蹴りがクリティカルヒットした。
「ぐぁ!」
「……コダマ! 電気消して!」
直後、日和美の怒ったような声と同時に、再び部屋が真っ暗になって。
日和美がゴソゴソと手探りで脱がされたズボンを探す衣擦れの音と、グゥーッと唸る信武の声が、闇の中にこだました――。
END(2023/03/13)
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