(4)下心はありません! 純粋な人助けです!(多分)

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「そんな泣きそうな顔しないで? 大丈夫です。貴女のおっしゃりたいことはちゃんと理解しているつもりです。それよりもむしろ……こんな得体の知れない男のことをそんな風に気遣ってくださって、本当に有難うございます。――記憶が戻っても、僕は日和美さんから受けたご恩を絶対忘れないでいたいです」  肩に感じる不破(ふわ)の手が、思いのほか男性らしく大きなことに、日和美(ひなみ)は胸の高鳴りを抑えられない。  そのことがとっても不純に思えてしまって。 (不破さん。私……)  ――下心はありません! 純粋な人助けです!(多分)  心の中、自分に言い聞かせるみたいにそう宣言してから、〝多分〟と付けてしまう時点で、本当は下心まみれなんだよねという本心に気が付いた日和美は、それにきっちりと(ふた)をして、そっと心の奥底深くに仕舞い込んだ。
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