(4)下心はありません! 純粋な人助けです!(多分)

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***  和洋中、色々食べられる庶民の味方。ファミリーレストラン『ガストン』でチーズハンバーグセットを頼もうと決めた日和美(ひなみ)は、不破(ふわ)が何を選ぶのか興味津々。  目の前に座ってメニューを眺める不破をちらちら・ソワソワと見つめた。  不破は洋食セットの箇所を素通りすると、定食がずらりと並んだページをじっと眺めていたのだけれど。  やがて、「僕は焼き魚定食にします」と、日和美的に見て何だかすっごくイメージに合わないものを指さした。 「えっ? 本当にそれでいいいんですか?」  余りにも意外すぎて思わず聞いてしまった日和美に、「はい。いいんです」とにっこり。 (そうかそうか。王子様は日本の食文化に触れてみたいのですねっ? かしこまりなのです!)  などと勝手なことを思わないと、不破の王子様的イメージとのギャップに脳みそが付いていけそうにない日和美だ。  何故なら不破が指さした焼き魚定食は鮭の塩焼き、豆腐とワカメの味噌汁、キュウリとナスの浅漬け、切り干し大根の煮つけ、ご飯がセットになった定食で。  いかにもザ・日本の朝食!と言った雰囲気だったから。 (いや、ランチなんですけどね)  テンパる余りどうでもいいツッコミを脳内で入れながら、日和美は呼び出しボタンを押したのだった。
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