(5)事実は小説よりも波乱万丈?

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(私の貯金、大ピーンチ!)  子供の頃からコツコツとお年玉などをストックして……大人になってからはバイト代もそこに貯め込んでいたけれど。  ここ数年はTL(ティーンズラブ)へのつぎ込みが(はなは)だしくて残高は目減り傾向だった。  加えて、今日使ったアレコレの請求がくることを考えると、さすがにしばらくは節約しないといけないな、と思った日和美(ひなみ)だ。  でも、そんな状態なのに不思議と気持ちは穏やか。  だって不破(ふわ)のように素敵な男性のため、庶民でモブキャラな日和美が役に立てちゃうなんてこと、恐らく一生に一度あるかないかの僥倖(ぎょうこう)なんだから。  日和美の中での不破は、未だに亡命中の某国の王子様か、はたまたどこぞの御曹司様。  あんな布団が落ちる様な(奇跡的な)出会いがなければ、絶対に接点なんて持てなかった人なのだ。  そんな不破に感謝されたり申し訳なさに眉根を寄せられたりするなんて、光栄の極み、快感しかないではないか。 (新生活にお金が必要なのは当然のことだもん。こんな時のための貯金じゃないの♪)  元々そんなに大金を蓄えていたわけでもないくせに、すぐにに乗れてしまう日和美はある意味(はがね)の心を持つ女だった。
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