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「――……なみさん? ひな、みさん。日和美さんっ!?」
そんな日和美を、不破が何度も何度も名前を呼んで揺さぶって――。
(あーん。そんなにされたら気持ち悪くなってしまいますぅー)
「お願い……、もっと優しく……して……?」
日和美は頭がくらくらするほどの酩酊感に無意識にそうつぶやいて。自分の声の遠さに何となく『ん?』と思った。
綺麗な色とりどりの花畑の中。クリアだったはずの視界がぼんやりぼやけて薄暗くて狭い部屋が徐々にクッキリと浮き上がってくる。
「ふぇ……?」
どういうことだろう?と混乱しまくりの日和美の目の前に、泣きそうな顔で彼女を覗き込む不破がいた。
「不破……さ?」
「すっ、すみませんっ! 僕……っ、ひょっとして寝ぼけて日和美さんに何かしましたかっ!?」
ギュッと両肩を掴まれて、グイッと近付く超絶美形に、日和美はクラリと酔い痴れそうになる。
だけど掴まれた腕の力強さに、思わず眉根を寄せて。
「不破さ、痛ぃ……です」
「すみませんっ」
ぼんやりした頭で不破に痛みを訴えたら、慌てたように力を緩められた。
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