(7)秘密の花園

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 オメガバではないけれど、垂れ耳の、ゴールデンレトリバーみたいな耳としっぽを持った半獣のヒロインちゃんが出てくるファンタジーものは、女の子が発情しちゃう姿がとってもエッチで良かった!  お相手が、飼い主さんというのもまた何というか背徳感があって淫靡(いんび)で……。 (『犬姫』、久々に読んでみたくなっちゃった)  『犬だと思ったら姫でした!?~俺の愛犬が最高にイケイケで可愛すぎる件について~』(通称『犬姫』)は、残念ながら今は版元の出版社が倒産して入手困難な本だ。  でも、日和美(ひなみ)の本棚にはしっかり蔵書として納められているから、いつだって読むことが出来る。  そして! 何が貴重かってこの本。  他の本は皆、作者近影の所に可愛いふわふわの毛玉みたいなイラストが描かれてお茶を濁されているのに対し、唯一萌風(もふ)もふ先生のバストアップの写真が載っているのだ。  最近では「『犬姫』が読みたい!」という根強いファンからの声を受けて、他社が拾い上げる形で電子書籍化されたから本文は読めるけれど、電書版も買ってチェックしてみた日和美は知っている。  作者紹介の欄が、他の作品同様ふわふわの毛玉イラストに差し替えられてしまっていることを。  だけど、日和美の持っている絶版になってしまった本の見返し部分にある作者紹介は、当然もふもふの毛玉ちゃんなんかじゃない。  黒髪サラサラの可愛らしい大和撫子然(やまとなでしこぜん)とした萌風(もふ)もふ先生が、恥ずかしそうにはにかんだ写真がバッチリ載っているのだ。  まるで日本人形みたいな愛くるしい着物姿の筆者近影を見た瞬間、日和美は一目で彼女自身のファンになった。
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