(7)秘密の花園

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 自分も萌風(もふ)もふ先生みたいな可憐(かれん)な大和撫子になりたい!と憧れて……。  そんな日本人女性代表!みたいな彼女が紡ぎ出す、日本とは無縁の異世界ファンタジーとのギャップにのめり込んだ日和美(ひなみ)だ。  そんな貴重な紙書籍版『犬姫』。  棚に並べてみると、版元が違うからだろうか。  『犬姫』だけ〝ムーンライトときめき濡恋(ぬれこい)文庫〟から刊行されている他シリーズより少しピンク色が濃くて目を引かれるからか、ついつい手に取りたくなってしまう。  いつも完璧な異世界ものを書く萌風(もふ)先生が、本作だけ珍しく舞台が日本だったのが新鮮で、何度も何度も読み返した。  けれど実は日和美、ここ最近はあえて手に取らないよう努めていたりする。  というのも――。 (『犬姫』読んだら犬が飼いたくなっちゃうんだもんっ)  萌風(もふ)先生のわんこ描写はそれほど精緻(せいち)で繊細。  『犬姫』を読むと、犬姫ことルクレッツィーの愛らしさに、日和美はいつもやられてしまうのだ。  いつかペット可の家に住んで、大きなワンコと暮らしたい!と思ってしまうのは、ルクレッツィーが可愛すぎるからに他ならない。
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