「俺、このブランド立ち上げがうまくいったら彼女に告白するんだ」

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「途中で諦めようと思ったこともあったよ。でも無理だったんだ」 「何美談にしようとしてるんだよ。大学の時だっけ、アキバのぽっちゃりメイドカフェに通い詰めてただろ」 「あの時は山下さんに彼氏ができたって知ってやけになってたんだ。でも結局、それは逃げだって気がついてすぐに行かなくなったよ」 宗吾は当時の心境を思い出してほろ苦い笑いを浮かべた後、はっとしたように運転席を振り返った。 「これって浮気になると思う? 山下さんに知られたら軽蔑されるかな」 「いや怖い怖い怖い」 ちょうど信号で停止したタイミングと重なり、松村がハンドルを握りながらめいいっぱい身体を窓際に寄せる。 「まさか今まで誰とも付き合わずに万結さんだけを想い続けてきたんですか?」 一応は質問の形式を取っていながらも、今までの話の流れから答えはもう決まったようなものだ。 「そうだけど」 予想通りの答えに宗吾以外の二人は頭を抱えた。 「いや、薄々気づいてたけどさ。名言されるとこう、精神に来るものがあるよな」
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