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「セイディ・オフラハティ! 僕はキミとの婚約を破棄する。キミがそんな女性だったなんて、見損なったよ」
「……はぁ」
とある日の昼下がり。リア王国の中心部にあるヤーノルド神殿にて、この神殿に従事している聖女の一人であるセイディは、この神殿の神官長の息子であるジャレッド・ヤーノルドに婚約の破棄を告げられていた。ジャレッドは震える指でセイディを指し、忌々しいとばかりに睨んでいる……が、そこに迫力などない。
そのため、セイディは適当に返事をしたのだ。……それに、問題はジャレッドよりも彼の隣に寄り添うセイディの腹違いの妹、レイラ・オフラハティの存在だった。レイラはセイディとは違い、緩くウェーブのかかった青色の髪と、大きな愛らしい青色の瞳を持っている。その顔立ちは庇護欲をそそるものであり、男性ウケが大層よかった。
それに対して、セイディは痛んだ茶色の髪と、おっとりとして見える真っ赤な瞳を持っていた。しかし、その容姿は何処か気品高く、高貴な印象を与える。その理由など、誰も知る由がない。
「セイディはレイラを実家で虐めていたそうじゃないか。僕は、レイラからそれを聞いた。だから、キミとは結婚できない!」
「……はぁ」
ジャレッドの言っている言葉は、真実とは異なる。どちらかと言えば、レイラがセイディを虐めていた。だが、庇護欲をそそる容姿と愛らしさを持つレイラは、常日頃から「お義姉様に虐められているの……」と周りに伝え、周りの同情を引いていた。大方、今回もその延長なのだろう。
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