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ビシッと指を刺されると同時に強烈なストレートパンチを食らった綾乃は、もうその場で膝をつくしかなかった。
そして、「じゃあねぇ〜」と意気揚々と立ち上がり、扉の外へと出て行く咲子を尻目に綾乃はフラフラと立ち上がった。
「く、くそぅ……咲子のヤツめっ……!」
——結婚。
決して意識していないわけではなかった。
結婚願望のある女性なら、とっくに結婚していてもおかしくはない23歳という年齢。
特に焦ってもいなかっただけに、いきなり現実を突きつけられたようで少しの不安が頭をよぎる。
若いけれど決して若すぎない年齢でまだ処女の自分。
彼氏もいなければ、特別好きだと思える異性もいない、今の自分の状況が途端に寂しく思えてきた。
しかしそうは言っても、このまま枯れていくだけの人生なんて御免だ。
綾乃はついに拳を握りしめ、決心した。
「み、見てなさい……! 私はこんなにもすっごくモテるんだから!! 何十人と控えてる『キープ君』の中から、一番イイ男を選び出して結婚してやるんだからねーっ!!」
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