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 昼時を過ぎても、景色はもの悲しさを連れたままだった。高い空は分厚い雲に覆われ、うっすらと見える陽の光は白く弱々しい。眼下に広がる高原の町、その向こうに連なる雪を纏った山脈も、薄暗い空の下では陰気な顔をしている。  休憩を終えて外へ出た時、頭の上に広がる青空と清々しい景色を目にすれば不思議と活力がわき上がってくるものだが、それがない日は却って憂鬱な気分にさせられる。車を降りた高柳は、浮かない表情のまま作業へ戻った。  現場は片側一車線の県道であった。左右を畑に挟まれた往来の少ない道であるためとばしてくる車が多く、工事中である事に気が付かずに誘導灯を持った高柳へ驚いた顔を見せる運転手も少なくなかった。  対向車線に立つ加藤と無線で連絡をとりながら、向かってくる車を止めたり進ませたりと続けていく。日が落ち、気温が下がり始めると、直視できないほど強烈な工事用の照明が焚かれた。強い風が念入りに着込んだ服の隙間から入り込み、高柳を凍えさせた。露出している顔の表面の感覚がなくなっていった。
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