理想の妻像とは

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 東京と京都は遠い。  恋愛でなくて良かったと思う。私に遠距離は無理だろう。  あれから高輪さんも忙しかったようで、ゆっくりとふたりで会う時間はとれなかった。  ただ、必ず毎日電話がかかるようになり、今日はどこで仕事だとか事前だったり事後だったりはあるものの全部話してくれる。  ……まめだ。なんてまめな人なの。  きっと彼なりに、私に誠意を伝えようとしている結果だ。  信じることが難しいからと契約まで持ち出した私に、嫌な顔ひとつせず応じてくれた。  ……若干、手の上で転がされた感はあるけども。私が言い出した内容なら契約よりも偽装が適していると絶対最初からわかってた……。  そういうところはあるけれども!  私が夫婦としての関係構築に二の足を踏んでいるのを鑑みて、丁寧に接してくれているのだと思う。
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