理想の妻像とは

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 仕事で関西に来た時はお店に少し立ち寄っていくもののすぐに東京に戻ってしまい、話す時間も取れないまま、二カ月。パートナーとして出席すると約束していた、高輪グループの創立記念パーティは明日だ。お店には三日間お休みをもらい、前日から東京へ向かう。高輪さんが用意してくれたホテルに宿泊して当日に備えることになっている。  着物や着替えなどは送ってあるので、今日は大した荷物もなくそのまま新幹線に乗る予定だった。 「……じゃあ、気を付けて行ってきなさい」  朝、家を出る時間にアパート前に実家の車が停まったので、てっきり父親が見張りがてら小言を言いに来たのかと思ったら、運転席に乗っていたのは母親だった。  母親は、私が祖父母の預かりになっても何も言わなかった。正直、大人になった今も母が何を考えているのかまったくわからない。  重い空間に耐えて京都駅に付くと新幹線のホームまで母は着いてきた。 「わざわざ見張りに来なくても、ちゃんと行くのに」 「心配で来ただけでしょう。どうしてあなたはいつもそんな捻くれて言うのよ」  眉間に皺を寄せて、不機嫌そうに母が言った。
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