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……あの人にとって、私は父親を満足させられない面倒な娘なんだろうな。
前を向いて、シートに凭れかかると目を閉じる。そのまま、新幹線が走り出すまで眠ったふりをすることにした。
まあ、お母さんに言われるまでもなく、高輪さんの迷惑になるつもりはない。彼に言われたわけではないけれど、対外的な妻の役目は一番大事なことだ。
……高輪家の直系傍系は覚えた……今日出席する来賓、取引先も彼に聞いたら教えてくれたし、一般的な情報は頭に入れたし……。
頭の中で繰り返していると、いつのまにか本当に眠ってしまった。
東京に来るのは一年以上ぶりだ。京都も主要駅周辺は人が多いが、やっぱり東京はどこか忙しない。
高輪さんが手配してくれたのは、明日のパーティ会場があるホテルだ。そのホテルがそもそも五つ星、しかもやたら豪奢な客室に案内されてしまう。
「……だから自分で手配しますって言ったのに」
広すぎるリビング、大きな窓、寝室は別にある。どこの豪華マンションかと思うような部屋だった。私ひとりがたった二泊するだけなのに、もったいなさすぎる。
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