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伏せがちの長い睫毛。いつも煌めく瞳は、僕から逸らされた途端に淀んだように色を失っていく様に気づいてしまった。
飲みたい気分だったのか。だとしたら、なおさらほおっておけない……
「――ねぇ」
咄嗟だった。すれ違いざまに腕を掴む。
しかし、思っていたよりも酔っていた彼女の身体は、それだけで大きくふらついて――。
「……わ、」
「おっと」
傾いてきた小さな身体を抱き止める僕。初めての感触にドギマギした。
別に女性に触れた事がない訳じゃない。昔付き合った人だっているし、セックスの経験だって多少ある。
でも、心臓が壊れるんじゃないか、って、
そう思えるくらいに…動揺している。
少し熱くて、柔らかな体。
あのシトラス系の爽やかな香りが僕の鼻をくすぐった。
この状況は本気で、やばい。
「あ、あぁ、ごめんね。一次会で帰るからって、飲み過ぎたかも……」
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