長年の片恋

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長年の片恋

――くだらないと思う日々に彩りを感じられたのは、いつだって彼女の笑顔があったからだった。 上京して、もう何年が過ぎただろうか。 混み合った駅をすり抜け、満員電車に揺られ、今日も勤め先へと足早に歩行を重ねる。 僕はこの人の多い出勤時間がとても苦手だ。 「おっすー。富丘」 電車を降りて、徒歩数分。 いつものように勤め先のオフィスビルを目指していると、ビルを目前としたところで上司である営業部長に声をかけられる。 「おはようございます」 目の前にやってきた部長に頭をさげ、共に出勤の人並みに乗りエントランスを進む。 「今日、午前中外回りだっよな?」 「はい。朝礼終わったらすぐに向かう予定です」 「なら、昨日行った企業に、寄ってから行ってもらえるか?このあと資料は渡すから」 「わかりました」
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