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あの日のこと
――それから月日が流れ、あの日が近づいてきた。
僕たちの関係は、相変わらず同期のままで、変わっていない。
少しだけ、昔よりも距離が近くなったような気がしていたけれども……
そう思っていたのは僕だけで。彼女にとってはそうではなかったと
この日、苦しくも思い知らされた――
「部長、金里さんは休みですか?」
昨日までバリバリ働いていた彼女が、突然会社を休んだことに、僕は驚きを隠せなかった。
いつもならみんなが来る前に出勤して、朝のルーティンを済ませて、コーヒーを飲んでる彼女。
笑顔の彼女…。
休む際は、いつだって
【すみません。よろしくお願いします】
例え急だとしても、仕事の引き継ぎと共に、そんな控えめなメッセージを入れてくれていた。
責任感は強く、無断で休むような人じゃない。
何か嫌な予感がした。
そしてそれは身構えるひまもなく、告げられた。
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