あの日のこと

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その担当は、部長と、そのフォローという形で金里さんが担当していたのだけれど。 事実情、ほとんどの仕事は彼女に投げられていたようなものだった。 大切な取引先であり、会社としても何としても成功させたい案件。 打ち合わせの度に、相手側が部長ではなく彼女を指名していたらしい、と聞いたのはつい先日のこと。 おかしいと感じつつ、近々様子を聞こうとしていたが……遅かった。 最後に行われた打ち合わせの場で、身体を強要されたらしく、それを拒否したら、クビになったらしい。 そして会社経由でアパートを借りてたため、職と同時に家も失い。 唯一の拠り所だった恋人に縋ったら、あっけなく別れを告げられた、と。 彼女の言葉のひとつひとつが胸を貫き 僕はその一瞬でさまざまな、津波のような激しい感情を味わった。 胃が焼けるような焦燥。 石のように空虚で冷たくなった胸 心を締めつけられるような切なさ。
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