そして、今―─

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今では思い出の場所となった屋上で、こうしてまったりするのが、僕たちの楽しみだったりする。 「命の恩人ね……。僕はここで明日美を見かけた時、寿命が半分になったよ」 「……半分? それは困る……。これからずっと一緒にいるのに」 「もうしない、って言ってくれれば、元に戻っちゃうかも……?」 「……ふふっ、なにそれ。何回でも言っちゃうよ。もうしない、約束したでしょ。真斗の真顔はジョーダンに見えないから困る」 もとより信頼関係のあった僕たちが、こうして軽口を交わせるようになるには、さほど時間はかからなかった。 クールだとか、無表情だとか、何を考えててるか分からない真顔だと言われるこの顔だけれども。 僕の中では、いつだって表情筋が型なし、のつもりだったりする。 こんなにも僕たちが愛し合える日が来るなら…この十年も無駄では無かった。 今ではそう思える。
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